2017年1月19日木曜日

貨物列車の逆襲

















今から40年ほど昔の大阪市港区の地図です。
現在「ダイヤモンドポイント」のある中突堤の先には
マリンタワーと呼ばれるものがありました。これは
展望タワーではなく、大阪港を航行する船舶すべてを
鉄塔の上のレーダーで把握するためのものでした。
立入禁止のこの場所に立ち入る機会があったのですが
まさに「ウルトラマン」の秘密基地のような機器が並び
3人ほどの人で管理をしていました。

大阪臨港線跡を何度か探索した画像をご紹介しましたが
この地図を見ればその様子がよくわかります。
大阪環状線から分岐し、血管のように港区の海岸に
線路を張り巡らせています。対岸の此花区も同様です。

なぜ、こんなに貨物の線路があったのでしょうか?
それは高度成長以前の物流は鉄道が主役だったからです。
当時は高速道路はもちろん、自動車専用道路すら
ありませんでした。
自動車、道路の発達により物流の主役は鉄道からトラックへと
交代します。鉄道輸送よりも細かい動きができ、
輸送量の調整もトラックのほうが臨機応変にできるからです。

キリンビールとアサヒビールが共同で吹田~金沢間
貨物列車を運行するニュースがありました。
佐川急便、西濃運輸、イオングループなど最近専用の
貨物列車を運行させている企業のニュースをよく聞きます。
これは早い話「運転手不足」が原因です。
運行管理も年々厳しくなっており、トラックでの輸送量は
需要があっても供給が追い付かず、結果、輸送コストも
上昇しています。
そこで、近距離はトラック長距離は貨物列車という
新しいスタイルにシフトし始めているのです。

今注目の築地市場も、大阪市中央卸売市場も、かつては
市場内に貨物列車が走っていました。
東京の豊洲市場は便利にトラック輸送ができるような
つくりになっています。私は移転反対派ではありませんが、
豊洲は通販会社に譲って新しく貨物線沿線に市場をつくるのも
一手かもしれません。
郵便事業なども高速道路の近くに拠点を作るのが
最近のトレンドですが、札幌、東京、大阪、福岡などの
長距離拠点となるポイントは貨物線がひける場所につくることが、
今後の働き手の不足に対応した考え方で、業界を勝ち抜く
戦術だと思います。

自動車の自動運転の開発に目を奪われていますが
貨物列車の自動運転のほうが簡単なのですから。