2015年1月11日日曜日

後継者問題

「業績がよいのに廃業」
「相次ぐ産業事故」
背景には後継者がいないからと
伝えられています。

これは間違っています。
後継者がいないのではなく
創れなかったのです。

戦後ベビーブーム世代が
結婚して、仕事にも熟したその時
バブルが弾けました。

その後の日本は「見直し」という言葉に
象徴されるようにデフレに見舞われ
ベビーブーム世代とその少し上の世代は
リストラに見舞われます。

会社もベテラン社員も我が身を守るのに
精一杯の中、先を考える余裕はありません。
技術の伝承よりも保守することしかできなかったのです。

もちろん若い世代も「ゆとり教育」の影響もあり
一生懸命仕事をすることに冷めていますが
それより上の若い世代も、
このバブル崩壊後の日本に巻き込まれ
好きでも嫌いでも仕事につくのがやっと
という地に足のつかない状態になります。

その後、それが当たり前になると
派遣社員とか契約社員とか
いろいろな労働者が多数を占める今
後継者なんか育つはずもありません。

今になって、慌てていますが
今度は育て方がわからないのです。

若い世代自体減少する中
様々な世代を相手に継承するため
教育の在り方も複雑化しているのに
教える側が教えられる側に立って
教えることができないので、
教える側は
「なぜ覚えられないんだ。」的な怒りを覚え
教えられる側は
「なぜこんなにも怒られなければいけないんだ。」
という溝が生まれ、頓挫してしまいます。

政治・経営者クラスは余裕があるので
松下政経塾から始まり、有名なところで
ソフトバンクの孫正義氏も後継者育成に
力を入れていますが、
工場や農林水産業の分野において
後継者の育成はほとんどできていません。

幸い我が国は世界有数の長寿国です。
戦後ベビーブーム世代が65歳に近づく今
一度、退職後教えられる側に立ってみて
もう一度現場に復帰して
後継者を育てられるような
制度や経営が必用です。