2017年1月25日水曜日

APAホテルとトヨタの違い

中国の国家観光局の報道官は1月24日、記者会見し、
中国国内の旅行会社に日本のアパホテルを利用する旅行商品の販売や
宣伝を中止するよう求めたことを明らかにした。
アパグループは「政府が一民間企業の活動を個別に批判することに
疑問を感じるが、こちらがコメントする立場にはない。対応に変更はない」
と中国政府の圧力に屈しないことを表明したが、日本政府は静観している。

今日、ある報道番組でこの件を取り上げた際、解説委員が
この件を見てトランプ大統領がトヨタを名指しで非難したことを
思い出したというようなコメントをしていました。

確かに似てはいます。政治が一企業を攻撃するのは
一種のハラスメントです。しかし中身は全然違います。
トランプ大統領がトヨタを非難したのはビジネスの方法に
ついてです。もちろんルールにのっとってトヨタはビジネスを
しているので、問題はないのですが、そのルールが
変われば今正しいことも、違法になってしまいます。
スキーのジャンプ競技で板の長さに制約ができて以降
日本は金メダルが遠ざかったように、アメリカが法律を変えれば
トヨタがメキシコに工場を出しても利益にならないのです。
だから、今まで通りの対応をするのではなく、トランプ大統領に
あわせたやり方で対応すべきと、以前私は呟きました。

で、今回のAPAホテルの件です。
「南京事件」は全容が未だ明らかになっておらず
中国の言う「大逆殺説」もあれば、当時の日本兵の証言で
「虐殺しようにも南京に人がいなかった」とする「なかった説」
もあり、諸説あります。私個人は日本兵が南京に攻撃したのは
間違いないのですが、民間人の死亡は日本攻撃に乗じて
金品略奪を企てた現地のならず者の仕業とみるのが合理的
かつ現実的だと思います。
それはともかく、諸説あるこの件を「大虐殺」でなければならない
とする中国政府の姿勢は、ビジネスとかルールとかの領域では
ありません。中国の思想に従え」という人権を無視した圧力です。
例えれば、イスラム教徒やキリスト教徒に「それらの崇拝を
やめて仏教徒になれ」と言っているようなものです。

日本のメディアが呑気にこんなことを言うから、政府も弱腰に
なってしまい、毅然とした態度がとれないのです。
韓国慰安婦像や北朝鮮拉致などの問題ももっとメディアが
世論を煽り、政府を動かすというくらいのものでなければ
待っているだけでは何も解決できません。