「NHKスペシャル~巨龍中国 1億大移動 流転する農民工」
という番組を見ました。
経済成長にブレーキがかかった中国の成長戦略として
大都市と農村の間の中核都市を発展させるため、農村や
都市に出稼ぎに来ている農民を中核都市に移住させて
消費者を増やす実情のドキュメンタリー番組です。
農民が都市に出稼ぎに来て開いていた店を中国当局が
強引に退去させたり、住民が共産党や習近平氏を非難する
シーンもあり、よくこの映像を日本に持ち帰れたものだなと
関心するよい番組でした。
強制的に店や居住スペースを退去させられることは
日本では異常ですが、実は中国では日常の風景です。
日本の企業も中国の誘致した工業団地に入居しながら
突然退去させられたこともありました。
大都市の古い街に住む住民を退去させてそこに新しい街を
つくることにより、経済効果を生み、その住民を中核都市へ
移住させて中核都市の消費を活発化させるこの計画は
中国でしかできない政策です。
この政策、日本で例えるなら東京の築地市場移転です。
銀座や新橋という都心にある築地市場を埋立地の豊洲へと
移転させることにより、そこに新しいビルを建てて経済効果を
生み出します。中国のように人の居住まで移転できませんが、
当然市場が移転することで付随する移転もありますし、
働く人の移住や豊洲へのアクセスである「ゆりかもめ」の
利用者も増えるので、確実に効果はあります。
しかし所詮東京から東京の移動です。
中国が行っているのは大都市から中核都市の強制移動、
これぞまさしく「地方創生」です。
手法に問題はあるものの、大都市を守る日本と新しい
大都市を創ろうとする中国の差は今後開く一方となりそうです。